新学期です。あたらしく幼稚園(こども園)児になるひとも、進級して先輩になるひとも、保護者の人も教員も、4月は「あたらしい」がつく月です。「あたらしい」と聞くとなんだかワクワクソワソワします。「がんばるぞ」という心もおきてきます。どうしてなのでしょうか、考えたことはありますか。
あたらしくてワクワクするなんて心が起きるには、マンネリでダラダラ生きていいるということがあります。「ダラダラして生きているなぁ」という実感があるからこそ「4月!」「春!」と聞くとワクワク新鮮な気持ちになるのです。でも、実は、きっと、「新学期だ!」といって新鮮な気持ちになっているのは、園長や、先生、保護者の皆さんがた、ほかおおぜいの大人だけなのではないでしょうか。こどもたちは別に新学期でなくとも、4月でなくとも、春でなくとも、新鮮な「時間」をすごしているのではないでしょうか。春が過ぎて梅雨になったって、彼らにとってはまだ、人生何回めかの梅雨なのです。夏が来るのも、秋をとおして冬になるのも、まだ人生で数回しか経験したことのないことなのです。きっとトキメキを持って1年の変化を受けとめているのです。それを、「新学期だ」と挨拶して、他の季節をマンネリにする「罪」を園長は感じました。
人間が経験する時間はいつまでも最新の「あたらしい」時間です。何歳になったって、やってくるのは初めての時間です。それをつまらないマンネリの時間に変えるのが大人になる副作用と言えます。だから、仏教では新鮮な「今」をとり戻すことが、きっと苦労するであろう人生を生き抜くのに大事なのだと教えています。「春」とか、「新学期」とかつかないと新鮮な気持ちになれない大人は、こどもから新鮮な「今」を学ぶべきじゃないでしょうか。なにも教えることばかりが育児ではありません。こどもから学ぶことも育児です。
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