今月のえんちょうのことば

えんちょうが毎月あたまをひねって絞り出したことばです。
お坊さんモードでお話いたします。

3月のこどもたちへ

3月は、ひとつ、おにいちゃんになる手前、おねえちゃんになる手前、成長の一区切りの月です。生活自体はだだーっとつながって流れてゆくのですけれども、階段を上がったような気持ちになるのはだいじなことです。子育てする大人にとっても区切りの月、ことしは何を一緒にしようとか、あたらしい学校生活のこととか、こどもの成長を具体的に考えます。こどもの教育というのは、字を習ったり、小学校で教科ごとに学習したり、お稽古をしたりと、習うものですが、ひとつ忘れないで加えたいことがあります。それは会話です。こどもたちが将来生活するのは、いろんな問題や、困難があって、それにたいするたくさんの意見がある世界です。どの意見が正しいのか、ということではありません。世界は単純な仕組みで動いているのではありませんから、どうやったらいいのかということは、決して正解というかたちでもとめられるものではありません。そのなかで考えてゆく、考えつづけてゆくことはとても必要なちからだと思います。ひとは面倒になると考えることを放棄することがあります。考えることにも休息は必要ですが、考えることを止めて凝り固まってしまえば他と衝突したり、他を攻撃するだけの人間になります。そんな人間をつくらないために、こどものときから会話して、考えることを成長の傍らに置くべきだと思います。はじめは「きょうはなにしたい?」って会話からはじまればいいと思います。会話を通して、自分と違う意見のひとと一緒に生活してゆく訓練をするのです。家族といえども、なかよしといっても、全く考えることが同じということはあり得ません。ある意味人間は孤独ですが、その違うひととなかよくできるからこそ、幸せなのではないでしょうか。

えんちょう先生