小学校へ行って、職業について6年生に質問される授業に参加しました。よく聞かれた質問内容は、「有給はどれくらいありますか?」「1日何時間働きますか?」「年収はいくらですか?」「資格はいりますか?」「なんでこの仕事に就こうと思ったのですか?」園長の仕事はともかくとして、お坊さんだと「忙しい時期は死ぬほど忙しい」とか、的確な答えになってない気もしますが、職業を条件でみる質問が多かった印象があります。たしかに小学生はまだ職業に就いたことがありませんから、ニュースに流れる働きかた改革の内容みたいなもので職業を捉えるのだとおもいます。けれども、同時にうれしい質問もありました。「仕事をして嬉しいときはありますか?」「仕事で辛い時はありますか?」「ストレスを感じるときはありますか?」「やりがいはありますか?」大人になってだいぶん経って、いくつかの職業を経験した園長からみるとこちらの質問のほうが大事です。仕事の条件はいわば仕事のかたちです。法律で定めることもできるし、条件で比べることもできる。けれども仕事のなかみは比べることができないものなんじゃないでしょうか。園長は仕事で嬉しいのは園長でも、坊さんでも、「ありがとうございました」と言われたときと答えました。ほんと幸せな気持ちになります。ストレスを感じるのは「思い通りに仕事が運ばないとき」と答えました。この、嬉しいとかストレスを感じるとかいうことが仕事のなかみじゃないですか。条件でみて比べるというのは外から見ている立場です。けれども仕事は中にはいってするものです。条件がいいからと言って仕事を喜べるかはわかりません。仕事がどれも同じような苦労なら、それは条件がいいほうが良いでしょう。けれども仕事が苦労だけってことはきっとないですよね。職場の人間関係があったり、仕事の役割を実感できたり、もちろん感謝やねぎらいの言葉をかけてもらえることがあったり。園長はほとんどの職業を経験していませんが、仕事が苦労だけってことはないと思うのです。小学生が職業について考えてゆくとき、条件がいいということだけで判断しない、仕事、生活のなかみを見つめて考えていくような視座を小学生たちに養ってほしいと思いました。いや、小学生だってなかみについて考えているからこそ「嬉しいときはありますか?」って質問が出るのですね!これは失礼いたしました。