今月のえんちょうのことば

えんちょうが毎月あたまをひねって絞り出したことばです。
お坊さんモードでお話いたします。

けっかよりだいじなこと。

「結果が全てですから」スポーツ選手などが試合後のインタビューでつかうカッコイイ言葉です。結果に至るまでにどれほど苦労したかわからないようなひとが言うと、清々しくてとても眩しいです。でも、一方で、「結果が全てだ」と仕事や学業で言われるととても暗い気持ちになります。少なくともちいさなこどもに向かっては「結果がすべて」なんて言うべきではありません。こどもは、結果もいいけど頑張った姿を褒めたほうが伸びるということもあります。こどもが努力するためには、失敗しても大丈夫だという安心できる生活の土台が一番大事です。こどもを無気力にするのは、「〇〇できたらうちのこども」なんて関係です。こどもが悪さをしたときは怒ったらいいです。こどもが震え上がるくらい鬼の形相で怒ったらいいです。けれども心理的に圧力をかけたらいけません。そもそも大人とこどもの関係には、そんな暗に示すような行為は不必要で不適切です。こどもは育てるのではありません、育つのです。それも大人の背中をみて育つのです。大人が自身の人生の道をしっかり歩いているならば、なにも心配する必要はありません。「こう育てればこんなこどもになる」という考え方が間違っているのです。なにに対して間違っているかと言うと、ものの道理に対して間違っているのです。人間は理屈で考えます。論理でものごとを計って、考えたとおりにならないと怒ったり苦しんだりします。でも、それは人間の考えたことなんです。人間の考えたことを超えて人生というものは展開します。大人の人生も、こどもの人生も理屈で運ぶんじゃなくて、道理で運ぶのです。だから、結果はおまけくらいに考えて、生きている姿勢を褒めてあげたほうがこどもは伸びるのです。心理学者河合隼雄先生はとても努力するので有名なひとでしたが「ものごとは努力によって解決しない」とおっしゃいました。それならどうして努力するのかと問われ、「私には努力ぐらいしかすることがないので、やらせて頂いている」と答えられたとのことです。

えんちょう先生