今月のえんちょうのことば

えんちょうが毎月あたまをひねって絞り出したことばです。
お坊さんモードでお話いたします。

コロナいちねん。

 新型コロナの流行が日常にやってきてもうじき1年になります。今年はがまんすることばかりで「なんでだっ!」って気持ちになります。けれども、「コロナはこわくない!」って言っても、現実に感染したひと、重症化したひと、亡くなったひとのニュースがありますから、コロナにかかったら絶対に無視することのできない事実ですから、それにあわせて生活してゆく以外にないのです。
 禅宗のお坊さんをインタビューした動画を観たら、「コロナ流行後の生活はいかがですか?」との質問に、「コロナは大変だけど、これまでみなさん動かなければいけないと思い込んで、忙しく行動していた。それが制限されて見えてくる生活はあるんじゃないか。」とおっしゃっていました。なるほど!コロナを無いことにしたってなにも生まれないのです。「今年はなんで行事できないんだ!旅行できないんだ!飲み会できないんだ!」って言ったって暗くなるだけです。「なんで」と人間は言いますが、無事にできることが保証されているわけではないのです。コロナじゃなくとも災害とか、無事にできないことは有るわけです。だから、「無事にできてあたりまえ」じゃなくて、「これまで無事に出来てきたことにびっくり」なんです。
 人間界の情報をみていますと、失ったものの話ばかり出てきますが、物事は都合の悪い側面だけではないと仏さまは説きます。きっとこの生活から生まれてくる新しいものがあるのです。そして、100年に1度くらいの疫病の時代を通過したこどもたちには、また新鮮な育ちの世界がひろがるのです。そういえば、ニュースで見たのですが、接待の外食が激減して家族での外食が増えたそうですね。これもなんだかいい空気を感じる変化ではありませんか。

えんちょう先生