2020年度、小学校の必修教科にプログラミングがはいります。大人の世界では、AI(人工知能)やAR(拡張現実)というものが期待されていますから、こどもの頃からコンピュータープログラミングに親しめば、将来きっとためになるということです。羽咋幼稚園でも、プログラミングで遊ぶおもちゃを導入しました。しかし、早期にプログラミング教育を受けることが、こどもたちの人生のためになるとは考えません。そもそもみんながみんなプログラマーになる必要はないのです。ちょうど米国WIRED誌の記事にありました。『「優れたプログラマー」に育てるために、もっと重要なこと』という記事。記事の最後に書かれているところを抜粋するなら、「未就学児を優れたプログラマーに育てるためのもっとシンプルな方法がある。まずは、独立心のあるきちんとした人間になるよう導くことだ。子どもが抱いた興味を追求させて、自ら課題に取り組み、自分で解決策を考えさせるようにしよう。」ということです。あとは「協力することの大切さ」と「忍耐力」。これは、特別プログラマーになるひとだけが必要とするものではないですね。どんな人生を歩むにも、生活をつよく支えてくれる能力です。そして、これまで幼稚園教育で大切にされてきたものでもあります。
どうしたら独立心のある人間に育つのか、それは育ってゆく環境で「独立」ということが大切にされる必要があります。なんでもかんでも右に倣えではなく、ひとりひとりのこどもをみて、むきあって対話して育てると言うことです。大事なものは「大事だ」と言っても伝わりませんが、大人が「大事にする」ことで「大事さ」が伝わります。こどもの興味を大切にする。自分で考え、問題にあたる。これも、「こどもが一生懸命になったら、たとえそれがくだらないことに見えても、とことん飽きるまでさせたほうがいい」と言うことです。問題に遭うということがチャンスなんです。大人が教えたらせっかくの「自分で考える」チャンスを奪うことになります。こどもに答えを教えるのではなくて、こどもと会話したほうがいいでしょう。教えるのは支配につながることがあります。対話が独立心を生むのです。「協力」は友だちと一緒に生活する環境をとおして身につけます、特に年長児の育ちで大切にされることです。「忍耐」は我慢ではありません。忍耐は興味を最後まで持続する能力のことをいいます。自分の興味心を信じてものごとをやりとげる能力とも言えます。納得できないこと、不快なことでも単純に我慢するだけなら、不愉快な人間が好き勝手する不快な世の中をつくり出すことになります。忍耐は決して我慢じゃないのです。
幼稚園教育は、「教える教育」ではなく、「育てる教育」です。大人が口で言っても決して伝わらないことを伝え、こどもに育ってもらうのですから、大人も忍耐をもって、こどもと対話してゆくときなのです。プログラミングは、、、って慌てる必要はありません。プログラミングは技能ですから、中学生ではじめても遅くはないのです。先端テクノロジーを扱うWIRED誌が書いてくれているんですから、いま、こどもたちに必要なことをやりましょう。
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